「蓼科日記」複製完成
以下のご礼状と会計報告等を、86人の市民サポーターの皆さまにお送りしました。

「蓼科日記」完全複製・市民サポーターの皆さまへ

 秋も深まり、日々寒さも増す時候ですが、皆さまお変わりありませんか?
 過日は「蓼科日記」完全複製プロジェクトへのご協力、ありがとうございました。
 先にお知らせしました通り、お蔭さまで全十八巻の複製が完成し、九月十九日に、複製作業に当たられた富士ゼロックス京都の皆さま含め、蓼科、新・雲呼荘にて「完成式」を行いました。
 これも当プロジェクトに温かいご芳志をお寄せくださった皆さまのお蔭と、改めて感謝申し上げます。

 野田高梧や小津安二郎が「日記」を書いた当時から六十年あまり、複製はその古びも忠実に再現し、昭和二十年代から四十年代の空気と彼らの日々の思いを伝えてくれます。それは、めざましい映画史であるとともに、戦後史の生きた記録であり、また貴重な「蓼科民俗誌」でもあります。
 そこには、戦争が終わって十年、野田・小津の作品『麦秋』の老夫婦の台詞ではありませんが、「私たちは、それでもいい方だよ」と、幾多の戦死者や戦災で死んだ人々を胸に置いた言葉に満ち、同時にその「戦後」という時代がいつまでも続いてほしいという願いにあふれています。
 この「集合日記」を、博物館の片隅に置くよりも、それが記された蓼科で読んでほしいという野田高梧の希望はこのたび実現されたことになりました。
私たちは、市民の皆さまのお力をお借りして、この貴重な文献を後世に残せるようになったことを誇りに思います。
 そこで、記念に「蓼科日記」第十九巻(別巻)を新たにつくり、それに感謝とお礼の気持ちを込めて市民サポーターの皆さまのお名前を記させていただくこととしました。石に刻む「碑」という言葉があるように、「紙碑」という言葉があるそうです。
 もし蓼科においでになることがありましたら、是非一度、新・雲呼荘にお運びいただいて、一巻から十八巻の本文を手に取ってご覧くださいませ。
 本日は、日記複製完成のご報告までに、「別巻」十九巻と会計報告、当地の新聞記事等を同封させていただきます。
 重ねてこのたびのご協力ありがとうございました。

       2020年10月25日 
       新・雲呼荘 野田高梧記念蓼科シナリオ研究所
                代表理事   山内美智子
                  理事   渡辺 千明